真実の色、それは虹のように美しい

　生涯で見た中で最もよかったライブっていうのが、
俺の中では同率首位で、二つある。

ひとつはウエストロードブルースバンド（ライブ＠成蹊大学学園祭）
そしてもうひとつはシンディローパー（ライブ＠武道館）

　いずれも２０年以上前のことだ。

　歳月を経て、昨日、シンディローパーが来た。行った。
水曜にやってくれるなんて、ありがとうシンディ、俺のために。

　２０年前のあの日、俺は横浜にいた。
初めて横浜に行った日（記憶が曖昧だが、たぶんそう）、
泊まったホテルのチェックアウトで追い出され、
寝不足のまま近くのドトール、

　以降なんやかんやで、特別なことがあるとすぐ横浜に出てくる習慣が染み付き、
今では横浜市民。

　あの日、横浜のあとその足で行ったのがシンディローパーライブ＠武道館。
それまでは、そんなに熱狂的なファンってわけでもなく、
でも当時出てたアルバム２枚はすごい好きでよく聴いていた。

　しかし、アルバムよりもライブがさらによかった。完璧だった。
かなり遠い客席にいたもんだが、スコーン！と声が届いてくる。
そう、PAとかの音量の問題じゃなく、スコーン！と、
こう、突き抜けてきた。
　大きい会場でここまで突き抜けてきたのは、
ミックジャガー初来日の時のドームで見たその時のドラム（ミックじゃないんかい）、
なんつったけななぁ、左ききで左でハット、右でスネア叩いて、
手数多い系だったんだけど、あ思い出したサイモンフィリップスね、
そいつのタイコとシンディの声はとにかくスコーン！だった。

　アンコールのド最後にシンディたった一人でセットの高いところにのぼり、
完全アカペラで「トゥルーカラーズ」をやったときは、
マジで俺の中では女神降臨だった。
後光が射してた。色は虹色。


　そして昨日、せっかくだから横浜から武道館までを再現すべく、
無駄にそこのドトール（今でもあった）にも行き、
妙に眠い感覚まで同じだった。
夜までは時間があったんで、山下公園で妻と待ち合わせ、
海と秋の空を見ながら読書＆コロナビール＆昼寝（写真①）
出来ればチャリで来たかった。最高の気候。
その後、妻は弁天神社に行き、俺は一人武道館へ。

　S席にしては遠すぎだろ！（写真②）っていう、遠いところまで昔と一緒。
やたらシンプルなステージセットに女神登場。
昔の、ド派手な衣装＆スカートの裾持ちながらイッちゃってる感じの踊りはもう
さすがになかったけど、思ってたよりもずっとちゃんとしてた（失礼な）。
シンディの曲の中では俺が２、３番目に好きな「She Bop」は、
なんだかブルージーなアレンジだったのがちょっと残念。
原曲のあのB級ディスコ風アレンジが燃えるんだけどなぁ（笑）。

こういうのって、本人はもう何万回と演ってきてて、
自分自身に新鮮味出させるため＆ファンにも新鮮味与えようみたいな
サービス精神みたいなもんで、
俺自身もバンドでヘビーローテレパートリーでは同じ心理が働くんで、
非常によくわかるんだけど、ファンとしてはちょっとガッカリなんだよなぁ。
　例えばブルーススプリングスティーンがライブで「Born to Run」をアコギ一本でしっとり歌ったりするときがあるんだけど、「おい！」って思うし、
最近エイジアが来日したみたいで、その宣伝がTVでちょっと流れたとき、
「Don’t Cry」をアンプラグドでやってて「おい！」って思った。

　そんなわけで「She Bop」は残念だったけど、セットリスト的には十分にファンの期待どおりのヒットナンバーオンパレードだった。
個人的には（他人のカバーではあるけど）「What’s goin’ on」とか「アイコアイコ」とかもやってほしかったけど、十分に満足。
　「トゥルーカラーズ」が歌われ、終わったとき、
俺は思わず「ありがとうございました」って言ってた。ていうか言うことに決め（笑）、
しっかりと声に出して言った。敬語で、神妙に。女神（御年５０超えてる）だもん。

いやぁまぁこの２０年、私もいろいろありましたよシンディさん、
でもまぁやっぱりこっちも今でも歌ってます。
そうそう、思えばこの２０年、共に（ていうか断続的に）やり続けてきた
シャケと、明日ライブやります。
真実の色を出すべく、頑張ります。
シンディさんもあと２０年くらいやっててください。