阿久悠さんが亡くなった。生前からもちろん十二分すぎるくらい、
凄すぎる人なのはわかってたけど、
新聞とかで、あらためてその手がけた作品をまとめて見ると、
わかっちゃいるけど、やはりさらにビックリする。
「北の宿から」と「狙い撃ち」が同じ作者ってことだけで十分スゴイ(笑)。
以前、阿久悠さんが「曲先の詞」に関することにコメントしていて、
たいそう興味深かった。
「津軽海峡冬景色」は、ナント、演歌でありながら曲先なんだそうで、
だからこそ、
上野発の夜行列車降りたときから
青森駅は雪の中
っていうように、2行で青森まで来れた、とのこと。
なるほどなぁって三回くらいうなずいた。
詞が先だったなら、おそらく「上野を去る」状況だけで一番を使いきるか、
あるいは少なくともサビまではダラダラと上野が舞台となってしまうかもしれない中、
Aメロのしかも半分だけで、青森に到達してるのは、見事としかいいようがないし、
阿久悠さん自身が言うように、このへんが曲先の妙なんだろうなぁって思う。
有無を言わせない、選択の余地のない、メロディーによる制限。
苦痛なときもあるけど、パズルをしてるような楽しみもある。
先に「クッククックー クッククックー 青い鳥」って書かないよなやっぱ。
あ、この曲が曲先なのかどうかしらないけど、絶対そうだよね。
詞先だったらそれはそれでまた尊敬する。
どうでもどっちでも、とにかくスゴイ人だ。
ビートルズと同じで、もう残念ながらこの先出て来ないタイプだろうなぁ、
すごい人はもちろん出てくるんだろうけど、
時代も全面的に後押しして、制作側から歌い手から何から完全なるスクラム状態。
作詞家なら阿久悠亡き今、松本隆くらいか
作曲家なら断然、断トツで、筒美京平だろうなぁ。
このへんの人達はまさにモンスター作家だ。