自分にとって極めて近しい間柄にある人が主演の映画ってどんな感じなんだろう。
「わっ、マジで樋口さんが演技してる!」とか「なんか不思議な感じだな」とかきっとなるんだろうなって思ってたけど、見始めたらすっかり「馬場さん(主役柄の名前)」として見てた。つまり樋口さんは演技もかなり上手かったってことでいいよねこれ。
この映画、趣旨からしてどうしても枕に「パーキンソン病」が来てしまうかもしれないが劇中に「【I am パーキンソン病】じゃなく【I have パーキンソン病】なんだ」というセリフが出て来るようにまさに【He has パーキンソン病】として、いやもっと言うと「パーキンソン病」とか全く抜きにして「サラリーマン映画」としても秀逸だった。
(以下ネタバレ大いに含むためまだ観てない人はぜひ実際に観てから読んでね)
「半沢直樹(でいいんだよね?「倍返し」のやつ)」って結局見てないんだけど、企業プロジェクトの中でわかりやすい悪役が出て来て最終的に勧善懲悪的痛快活劇で締めるみたいなストーリーってこれまであったと思うんだけど、この「いまダンスをするのは誰だ?(以下【いまダン】)」は一見そういう系かなと思ってたら登場人物全て根本は善良で(本物の写真家役の人なんて神だろ)、そこに馬場さんが己を全てさらけ出し思いを吐露することで周囲がジワ~っと暖かくなり氷結解凍が始まる・・・。
勧善懲悪モノではなく「痛快」というより「爽快」な気分で本当に晴れやかな気分になれる。
昔、父が「心底やりたいことを成し遂げるにはミテクレとか恰好とか本当にどうでもいいんだよ」と言ったことがありそれをその後自身の信条ともしているんだけど「いまダン」を見たらこの父の言葉を思い出したりした。
また自分の得意分野(馬場さんの場合写真撮影)で局面打開するくだりも身に覚えがあった。
中三で東京に転校してきて周囲と全く馴染めない日々を大きく変えたのは音楽室にあったクラシックギターをポロっと弾いてみた(曲はアリスだったりするけど)ことだったし、35歳になって初めて就職(それまではずっとフリーターだった)した学習塾の会社(社員はほとんどが20代の若者で上司に当たる人も20代だった)で結果左遷された自分は地方の教室で毎月保護者に手書きの「教室通信」を送り続けていたことが課長に知れ、そのことが社長にまで届きやがて全社員にそれが知らされて以降、自分の中でやはり仕事に前向きになれたし、よく言われるところの「自己肯定感」というやつが爆上がりしたのを覚えていて、それが自分の数少ない成功体験の1つとしてその後の行動指針になってくれていると思う。
今回一緒に観に行った小1の娘(劇場内最年少だったはず)にラスト主題歌が流れた時に「これ歌ってるの馬場さんだからな」と言ったら驚いていた。
普段YouTubeを良く観る娘に「パパと馬場さんが二時間くらいず~っと(どうでもいい内容ばっかりだということは言わなかった)話し続けてる動画あるから今度見てみなよ」と言ったらやはり驚いていた。
馬場さんがダンスの先生に「これがやりたいです!」と言った楽曲は結構ブラコンっぽくて実は大学時代に樋口さんが散々やってきたジャンルでもあり軽音関係各位にとってはニヤリとしたところでもある。
そう、馬場さんがカーラジオつけたら「1/6の夢旅人2002」が流れて「どうらー(水曜どうでしょうファン)」がニヤリとしたように・・・。
個人的には樋口さんが結構前から掲げてたキラーフレーズ「諦めることを諦める」が満を持して登場したことにニヤリとした。
※写真は監督さんとさらに劇中でお医者さん役だった人と
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