友人で写真家の川名マッキーさんという人がいる。直接会ったことは
2回(もしかしたら
1回のみ?)位なんだけど、なんというか、面白そうなことワクワクすることを思いつき、しかもそれをマジで実行(←ここ大事)するところなどかねてから感服してた人(具体例もいくつかあるけどここでは省く)。そんなマッキーさんがある日突然脳卒中で倒れ、車イス生活を余儀なくされ、発話もままならなくなってしまった。
この辺の話も諸々端折るけど、この度有志らで集まり「マッキーさん激励カラオケ集会」をやろうということになり、発起人のSご夫妻にも普段かなり世話になってることも含め(土曜だけど)店を休んで参加してきた。場所はカラオケボックスじゃなくなんと数百人収容のホール。そこにわずか十数名が利用(演者と観客ほぼイコール)するというシュールな光景(宮廷歌人かよ)、万全なるディスタンス。
今回こういう常軌を逸した企画(?)の発起人はSご夫妻だったけどこれが仮に病前のマッキーさんだった場合、実際他の誰かに対して何かしようということがあったらマッキーさん自身もこういうことしそう(「ワクワクすることを思いつきマジで実行」)だなぁとも思った。
オレはこの日のオープニングアクトとしてカラオケでの自分内十八番である「忘れていいの(by小川知子&谷村新司)」の独りデュエットを敢行。
その他の人も概ね同世代ということもありそれぞれの選曲に胸キュンになる。
行きの車中でSさんに「順調に行けば時間が余りそうなんで赤澤さん、もう1曲何か歌いませんか?生涯最高音域が出る今それが遺憾なく発揮できるような曲とかで。」と言われ、「んじゃ【大都会】とか行っちゃいますか(笑)」と言う会話は確かにした。
そして本当に時間が余った。
そうなってくるともうなんだか「大都会」しか考えられなくなってきて困った。
でも「大都会」一度たりとも歌ったことないし、そもそもマー坊のあのキーは出るのかどうか非常に微妙。
人間困ると名案(妙案?)が浮かぶもので、オレの脳内にボンジョビのライブで「リビングオンアプレイヤー」やる時サビのOh~Oh!ってとこを数万人の客に歌わせてる(特に最後の一音半転調のとこなんて省エネ効果抜群!)図が鮮明に浮かび上がった。これだ!
このご時世、実際は合いの手もご唱和も出来ないため「心の中での大合唱」をオレは煽った。
来るぞ来るぞな感じ満載のイントロがあってサビ始まりでいきなり無声(笑)。
Aメロは余裕。
だがBメロから既に結構高い(汗)。
サビ来た~・・・無声。
この無声サビで押し切るのもコントなら有りなんだがどうしても日頃の発声の成果を試してみたい衝動に駆られ、最後に確か繰り返しでもう一回サビ来るはずだからそしたら出してみよう、と思い「繰り返し、来るか?来るのか?来ないならそれはそれでいいぞ」と葛藤の中やってきた繰り返し。今年一番の緊張感がほとばしった。
終演後「大都会のトップキーはC」ということを知り、それならまぁ普段から一応出る(出したくはないけど)ところではあったけど、あの時のあのスリリングさは何物にも代えがたい素敵なひとときであった。
終演後ずっと欲しかったマッキーさんによる写真集をようやく購入した。
書の終わりのほうで「ある朝目覚めて思いついた唐突なアイディアを写真集という形ある作品にして昇華させたい」とあった。
ほらやっぱりな「ワクワクすることを思いつき、それを実行(←ここ大事)」じゃん。
それと同じAB型だった。