「武士の商法」慣れないことに手出して失敗することだっけ?
オレの場合、とにかく「スイーツ」というものを扱うことが実は武士の商法の不安満載だった。
仲間たちもよく口々に「おじゃ丸がコーヒー屋やるのはなんとなくイメージがわくんだけど、ケーキ作るところがどうしても想像つかない」とか、
妻にもそれは散々言われてきたものだ。
さて、これとまた話は変わる。
たとえば脱サラして始めたお父さんのラーメン屋が何故か繁盛しているというパターンがある。
まだ趣味で作ってた頃、そのお父さんは原価も何も考えず、
ていうか原価という概念もなく、
ひたすら美味しさだけを追求し、
たとえばダシに使うカツオはどこそこ産で、みたいな、チェーン店が緻密な原価計算しながら日々企業努力してるいっぽうで、こと原価という見地からはビックリするような大盤振る舞いをする日曜日のお父さんが、どうにもこのラーメンを世に出したいということになり、意を決して、
「なぁ、お父さん、ラーメン屋やろうと思うんだ」
妻「確かにお父さんのラーメンはおいしいと思うけど、世の中そんなに甘くないんじゃない?」
娘(歳にして19くらい?)「別にいいけど私留学するよ?大丈夫?」
とかなんとか周囲の反対がある中、それを押し切り、
開いたお父さんのお店があらまぁ大変、
じりじりと客足は増え、今や日々行列・・・
みたいな流れ。これね実在すると思うんだよね。
もちろん、闇雲に材料に金かけりゃいいってもんじゃないし、
いくら美味しくても原価に70%以上とかかけてりゃそのお店に儲けは出ないから潰れるか、もしくはそれは趣味の店となる。
しかし、世の中のフード原価の平均が仮に30%だとすると、
そこを40%かけたならば、これは素人でも明らかに違うレベルのものになる。
25%に原価を抑えて喜んでてもお客さんが来なくて閑古鳥では意味がない。
大手チェーン店に対抗する一介の個人店はむしろこういう発想が大事だといつも思っている。
オレにとってのスイーツのような、もともと超素人だった人間が、この飽食、煩雑氾濫のスイーツ戦線でやりあおうなんてときはもう、原価をケチっちゃおしまいだと思っている。それからその商品の持ち味に元来不要なもの、つまり流通のためだけに必要な保存料とか、素材そのものの香りじゃなく「なんちゃらエッセンス」とかそういうものは全部無しにして、必須素材オンリーで、しかもそれらをたっぷり使う。
もうね、いろいろ選択肢があるわけでなく、オレの場合、こういう手法でしか活路を見出せなかったんだよなぁ、、。
今回の表版(?)のほうの生クリームやバターの話にもつながるんだけど、
こんな手法でやってる中で必須素材の部分をニセモノ使ったりした日にゃもう超最悪間違いなしなわけよ。ただでさえ武士の商法なんだから。
昨日の書き込みで、
「便利だから、安いから、という理由で行くお店もあるけど、「おいしいから」という理由で行くお店が一番好きです。」
って書いてくれた人がいた。とっても勇気づけられた。