先日、ある女性からお店に電話があった。
「コピ・ルアクを入手したんですが、本格的な淹れ方で飲んでみたいんで、
豆を持っていったら淹れていただけますでしょうか」と。
はい、ここで解説入りま~す。
「コピ・ルアク」とは・・・ジャコウネコの排泄物から採れる、ていうか、コーヒーの皮や実を食べ、豆は未消化のためそのままジャコウネコの体内に残り、
腸内の消化酵素の働きや腸内細菌による発酵によって、コーヒーに独特の香味が加わり、希少価値も高く、世界一高価なコーヒーとも言われる。
訊けば会社の人たちと5人で、土曜にお店に来たいとのこと。
そして、「いくつかのお店に話を持ちかけてみたんですが、全て断られたんです」とも。
この「全て断られた」っていうようなフレーズにすこぶる弱い俺は(笑)
それが完全な殺し文句となり、
俺は二つ返事でOKし、ただし、「土日祝日の場合、席の予約は不可」ということと、
「私にも少し飲ませていただきたい」という二つを条件とした。
その日がやってきて、俺も初めて見た「コピ・ルアク」。
木の箱に物々しく入っていた。
プロ仕様カッピングに最も近い抽出方法のフレンチプレスと、
うちのサイフォン式の2通りで抽出提供した。
飲んでみた俺の感想。
(沢尻風に)「別にぃ・・」だった。
ていうか期待したのはもっとマニアックな味というか、
「不味い!」みたいなのをイメージしたんだけどね。
別に不味くもなく、そして絶対に美味しくもないものだった。
いや、ここは顔をたて(誰の?ジャコウネコの?)ちょっとフォローすると、
その豆が焙煎後日数が経ちすぎて香味がとんでしまってるであろうことと、
焙煎がフレンチ、いやイタリアンレベルまで深く、
これだと判別も難しく、個性が完全に失われて、
まるで天使の歌声の持ち主とか言われるシンガーのレコーディングで無駄に深いリバーブかけてぶち壊してくれちゃってる感じっつの?
せめてハイかシティどまりでお願いしたかったなぁ。
そしてもちろん新鮮な状態でもう一度飲んでみたいもんだと思った。
てな感想を、求められた俺はそのまま正直に答えた。
丁寧にお礼を言われ、クッキーをいただき、その人は支払いまでしようとしてるから、
支払いの意味わかんねだし、こっちもワクワク出来たんでよかです。クッキーはありがたく頂戴しますばってん、ってことで後日これまた丁寧な手書きのお礼状までいただいた。
そう。迷ったら、ワクワクするほうへ。基本でごわす。